寓話も未来化!星新一のショート・ショートの本「未来いそっぷ」の感想や印象に残った話と内容

作家、星新一さんの作品ショート・ショート集の「未来いそっぷ」を読んでの感想や印象に残ったところなどについて書いていきます。

スポンサードリンク

星新一とは

1997年にお亡くなりになられた日本の偉大なSF作家です。

はじめて発表された作品は23歳の時の「狐のためいき」ですが、本格的にか作家としてデビューするのは1957年の31歳の時です。

生涯でなんと1000編以上も発表しており、その多作さや、1つ1つの質の高さから「ショートショートの神様」と呼ばれています。

2013年からはそんな星新一の名を冠した「星新一賞」という文学賞まであります。

未来いそっぷの感想と印象に残った話と内容

未来いそっぷ感想

久々に読み返しました。最初に読んだのはもう20年近く前でしょう。

冒頭から本の題名の元にもなった「イソップ物語」のパロディーが7編も並びます。

アリとキリギリス」「北風と太陽」「キツネとつる」「カラスとキツネ」「ウサギとカメ」「オオカミが来た」「ライオンとネズミ」のラインナップです。

時代が変われば話も変わる。

有名な話の「ウサギとカメ」なんかも、結果的にはやっぱりカメが勝つんですが、その勝ち方に度肝を抜かれます。よくもまぁそんな発想が出てくるなぁと驚きます。

確かに読んでいるとそんな難しくなく書けそうな感じがするのですが、そんなことはなく奥深いのです。

例えば題名だけ見て、そのストーリーを想像してみるとします。すると、選択肢がいろいろと見えてきますが、その中でも最善であろうルートをしっかりと進むのはなかなか難しいです。ですが、星新一さんの場合、その時代からすると想像すら難しいようなルートで私たちに驚きと楽しさを与えてくださいます。

この「未来いそっぷ」は1971年に出版されているにも関わらず、いまだに色あせずに今なお新鮮さがあります。

33編のショート・ショートが収録されており、短いものだと本当に手の平を広げたくらいの分量です。

ショート・ショート自体がまぁそうなのですが、すんなりと短い時間である満足感を味わうことが出来るので、隙間時間などの読書にオススメです。

未来いそっぷ、オススメの話

ウサギとカメ

先ほども少し書きましたが、この話の感じが、寓話が新しくなりまた社会的になった「未来いそっぷ」として内容がぴったりとハマっており、一番印象深かったです。

ウサギとカメが勝負をします。ここも同じです。

カメが勝ちます。ここも同じ。

元々のストーリーであれば勝ち方はカメの努力が実る形でも勝利で、込められた寓意としては「努力は裏切らない、能力があってもそれに驕れば結果が出ない」という所でしょう。

しかし、この星新一ワールドの「ウサギとカメ」は違います。

まず、ウサギの敗因ですがなんと「スピード違反」です。まさかの!

そして、こうも都合よく警察が現れた理由がもっと可笑しくて、「カメが賄賂を贈って、警官を出動させたから」です。

確かに納得なんですが、前提の話があるから勝手に思い込んでしまうんですね、スピードの出しすぎなんかを取り締まる法律なんてない世界だと。

凝り固まった頭をもみほぐしていきたいものです。

いい上役

この本のなかの話に「いい上役」という話があります。

ある業績も良くて、福利厚生も良くて、内部の人間関係も良い、いい風土を持った企業がありました。

そこになんとか入社した新人はその会社に入ったことを心から良かったと思い、その上でその会社に忠誠を誓い始めます。その結果、どんな他社からの誘惑があろうとそれを跳ね除け、心から会社と上司の為に働くという状態にまでなり、それがまた企業の利益につながるといういい状態でした。

しかし、そんな良好な人間関係で鎖のように固くなった上長との絆には、ある理由があったんです……

会社のシステムに知らぬうちにがんじがらめにされていたという事実を知り、それでもなお自分も今度は新しく持った部下に仕掛ける側に回る……。

というような内容です。

こんな短い中でも起承転結があり読後感もいいというのは、よほど無駄を取り除いてこの分量に仕上げてるんだなぁと感じさせるには十分でした。

おわりに

今作の「未来いそっぷ」はやはり最初の「イソップ物語」パロディーに引っ張られる形でSFというよりも寓話的なイメージの作品が多かったように思います。

相変わらず皮肉っぽい内容が癖になる作品でした。

星新一さんと同じく私が大好きな作家の伊坂幸太郎さんの作品をまとめた記事です。

スポンサードリンク

スポンサードリンク

スポンサードリンク

スポンサードリンク