ライブなどのチケット転売対策のコツと方法
チケット転売の対策方法やそのメカニズムからみた対策のコツをまとめます。
チケット転売問題
ライブなどのチケットの転売が問題となっており、ライブなどの主催者側は対策を余儀なくされています。
その結果、アーティストが合同で声明を出すに至りました。

http://www.tenbai-no.jp/
これに関して、賛否両論が出てきています。
音楽業界側からは見ると利益の流出につながっており、また、定価で売れないということ自体がすでに痛手なのでしょう。
一方、お金を出してでも観に行きたいという人々もいるのは事実です。
しかし、それをすべて法律のせいにし、法律の制定によって解決しようとするのはまた違うように思います。つまり自助努力によって問題を解決したいところです。
では、このように大きな問題となっているチケット転売問題はどうして起こってしまうのでしょうか。
チケット転売のメカニズム
チケット転売がなぜ成立するのか、そしてどのように成立しているのかというメカニズムを説明したいと思います。
これは経済学の基本からしても転売が起こりうることは明らかです。それもものすごい基礎的なところからして、であります。
なぜかというと、需要と供給のバランスが保たれていないからです。需要が多く、供給が追い付いていないという事です。
例を挙げると、
「たまごっち」でも「妖怪メダル」でもいいのですが、とりあえず一般的な「マヨネーズ」にします。
100個のその「マヨネーズ」があります、しかし100円で売っているその「マヨネーズ」には500人の買いたい人がいます。そして120円ならどうか。これなら300人の欲しい人がいます。200円ならどうか。これなら100人です。
「100円ヨネーズ」なら供給は500個ないと価格の上昇によって需要を減らさないといけなくなります。
「200円ヨネーズ」なら100個の供給量でも100人しか欲しくないのでまぁ定価で売れます。
このように、需要と供給のバランスは価格によって自動調整されるようになっています。
この自動調整機能は「神の見えざる手」と呼ばれています。
つまり、転売が起こるのは、
「ライブ回数が足りない」や「ホール等のキャパが足りない」という供給不足が原因であり、また、「ライブに行きたい人が多すぎる」や「転売目的の購入が殺到している」という需要多過が原因です。
チケット転売対策
上記の件をまず念頭に置き、対策を考えると、何通りか対策が見えてきます。
何らかの手段で転売自体を撲滅する
この方法が今、音楽業界で行われている対策です。
つまり、100人のキャパのところに500人の行きたい人がいたとして、100人しかダメだから、あとの400人は来ることはできません。その上で、確実に転売は出るので、その転売屋が転売できないように個人認証などの対策によって転売自体を取り締まっていこう、という方法です。
この方法に利点は、チケットが手に入った人にとっては値段と不釣り合いな価値のあるを安くで入手出来ているという事なので、ものすごい価値の観点からするとお得です。
手に入った人にとっては楽園です。
また、主催者側にも利点があります。安くで観てもらうことが出来るので、需要が先細りしにくいという事です。いつまでもアーティストの価値を保つことが出来る可能性が高いという事。
そして何より、経済的な負担をファンに強いらなくてもよいという事です。
正直、一番回りくどいやり方だと思うのですが、それでもこの方法を目指すというのは、何かしらの大きいメリットがあるのでしょう。それは理念によっても考え方によっても様々です。
需要を低くする
これが最も簡単な方法です。
方法は簡単、チケットの値段を最初から高く設定します。
つまり、100円で500人なら、最初から200円にしてしまえば供給量の100人に需要も追いつくという事です。
極端な話、極端な話です。同じ箱で開催されるモノの値段を100倍にしてしまえば転売なんかまったく起こらないでしょう。その代わり、買える人はものすごい限られてきますが。
ただ、この方法が一番市場原理からすると自然です。需要と供給のバランスはとられなければならないという事です。
ただ、主催者側は一部は取り入れはしても極端な価格の上昇を行うのはあまり得策ではないと考えるでしょう。
これを行うとその「高い」というイメージが定着し、それが今後そもそもの需要が低くなってきたときにその「高い」というイメージ、つまりブランドが欠損しているために取り返しのつかないことになります。
あとは多くの人に楽しんでもらいたいのでしょう。
供給量を上げる
そして、この方法が転売の防止には一番のように思います。
方法は、「開催場所の規模をランクアップする」と「開催回数を増やす」というものです。
500人行きたい人がいれば550人の規模を確保すればいいのです。
500人行きたいのであれば300人の規模を2回すればいいのです。
そうすれば、転売をしようにも50枚以上は転売屋が買い占めないと1枚も転売が出来ません。
ただ、問題はもちろんあります。
空席が目立ちます。需要より多くの席を確保するのですから自ずと空席は目立ちます。
そして、回数を上げるなら、会場の確保が難しくなったり、開催側の体力の問題もあるでしょう。
ではどうすればいいのか
複合的にこれらを実施すればいいと思います。というか、もう最近は改善されてきていますよね?
需要予測が難しいのでしたら、回数を増やして、追加公演を実施していけばいいですし、それでも回数を重ねることが何らかの事情で出来ないのでしたら、価格の調整で需要を微調整すればいいのです。
しかし近年、こういうコト消費の価格弾力性は低くなってきています。どういうことかというと、値段はあまり気にしないという事です。こうなってくると、ちょっとやそっと価格を上げるだけでは需要は減らないので、大きく変えなければならなくなってきます。
それ以外の方法は、座席の一部を別料金設定し、そこだけを調整するという方法です。
これによって、転売の値段の上限をある程度制限できます。その値段以上で出品すると買われない可能性が高まるからです。
これらを例にして説明すると、
1000人のライブに行きたい人がいます。これらを550人規模を2回することで解消しようとしますが、2回とも行く人や転売屋によって買えない人が出てきます。
転売屋はそれだけを狙った方法で、少なくしていきます。利益が出なくなってますよというブランディングをするのも手ですね。
その上、20人分は価格が高く、最初の530人に外れたけれども高い値段を払ってでも行きたい人たちを転売ではなく正規のルートで回収してしまいます。
ここで重要なのは、あくまでセーフティであるという点です。
最初からこの2段階目の高い値段で抑えることを念頭に供給を設定していると、1段階目の安い部分を大量に買われてしまうからです。
あくまで、そもそもの需給のバランスが保たれており、不測の事態に備えて、2段階目を用意しておくべきです。
こうなれば、転売屋がもし10人分買っても、もしかすると最初の520人で、もう行きたい人が回収されているかもしれないですし、もし520人で収まらなくとも550人はいなければ、開催側が設定した第二段階の値段までで売らなければ転売分は売れ残ってしまう可能性が出てきます。
さらに転売を買う人たちは何も転売から買いたいわけではなく公式から買えるのなら買いたい人は多いと思います。ですので、少々高くても第二段階の分を買う可能性が高いです。そうなればもう転売屋はもうからないので、撤退していきます。そうすれば転売屋のせいで高騰した需要分がなくなります。
撤退後は第二段階をより縮小していけばいいのです。より、適正に近くなります。
おわりに
転売を撲滅するあまり、ものすごい行きたくて買った人のみが「転売チケット無効化」で泣きをみて、転売屋はもうかるという現象が起こっています。
そもそも転売を撲滅するのは、ファンが不利益を被らないため目的のはずです。転売を防ぐのは目的ではなく、手段であるはずです。
にもかかわらず、その目的を見失った方法にするのではなく、もう少し自助努力をして欲しいものです。