【SAO映画化】劇場版ソードアート・オンライン――オーディナル・スケール――のあらすじや感想(ネタバレ含む)
2017/02/19
目次
ついに大人気ライトノベルを原作としたソードアート・オンラインが映画化されました。その「劇場版ソードアート・オンライン オーディナル・スケール」のあらすじや感想(ネタバレを含む)をまとめていきます。
劇場版ソードアート・オンライン――オーディナル・スケール――とは……
今作、劇場版ソードアート・オンライン――オーディナル・スケール――の特徴を簡単にまとめていきます。
原作者 川原礫先生による完全新作オリジナルストーリー
何といっても今作のオススメポイントは原作者「川原礫先生」が書き下ろした作品であるという事です。
実際、ご覧になられた方はそのストーリーの美しさに浸ることになったことでしょう。
ただ単なる総集編崩れのような作品ではなく、1つの世界として観ることが出来ます。
ARが舞台

https://www.youtube.com/watch?v=kEx6uJeOpMs
今までは、VR(仮想現実)を舞台として、仮想空間内での物語でした。それは、最初のアインクラッド編はもちろん、ALOやガンゲイルもVR世界です。
そんな中、今作は今までにはなかったAR(拡張現実)を軸とした、現実世界を拡張する形で現実の空間でゲームを行うというストーリーです。
AR型情報端末【オーグマー】によって拡張された現実世界にて戦闘を行います。
2026年に次世代ウェアラブル・マルチデバイスのそのオーグマーは瞬く間に人気となり、アミュスフィアに迫る勢いで普及していきます。そのオーグマー専用の人気ゲームが今作の題名にも入っている【オーディナル・スケール】です。
時系列
この劇場版ソードアート・オンライン――オーディナル・スケール――はソードアート・オンラインのファンとしては確実に観なければならない理由があります。
それは、上記の「川原礫先生書き下ろし」という部分にもつながってくるのですが、ソードアート・オンラインの正史に組み込まれる作品です。
ソードアート・オンラインの時系列を整理すると、
2022年11月6日に【ソードアート・オンライン】の正式サービスが開始され、キリトたちがゲームの世界に2年間幽閉されます。そしてフェアリー・ダンス編が2024年1月から、ファントム・バレット編では2025年12月からであり、その後2026年1月でマザーズ・ロザリオ編です。
ここまでが映画化時点でのアニメの最前線です。
そして、原作では次いで大作「アリシゼーション編」が2026年6月から始まります。
この「マザーズ・ロザリオ」と「アリシゼーション」を繋ぐ空白の半年間に今作「オーディナル・スケール」が存在すると考えられます。
ARMMO RPG「オーディナル・スケール」とは
AR型情報端末【オーグマー】を用いたゲームであり、現実世界をフィールドとし、その中で戦うというゲームです。
そんなこの「オーディナル・スケール」には、ARを用いるという特徴の他にも「ある特徴」があります。
それは、基数(カーディナル数)ではなく序数(オーディナル数)であるランクナンバーに基づいてキャラクターのステータスが決まります。つまり、ランクが上がれば上がるほど強くなるという特徴を持ちます。
これは、ゲーム「ソードアート・オンライン」を茅場晶彦が作り上げた際に破棄されたものを流用する形で用いています。
劇場版ソードアート・オンライン――オーディナル・スケール――のあらすじ
2022年にフルダイブ技術が確立し1万人もの人々が仮想世界に囚われてから4年がたった2026年。次世代ウェアラブルマルチデバイス「オーグマー」が発表された。
人々は覚醒状態で使用することの出来るその利便性や、あのSAO事件からも安全性が疑問視されるフルダイブよりも安全であるというイメージから瞬く間に「オーグマー」は人気となった。
そしてまたその人気を一部で牽引したゲームが存在した。「オーディナル・スケール」と呼ばれるオーグマー専用のARMMORPGである。
アスナやリズ、シリカなどもその人気ゲームに夢中であり、キリトもまたライトではあるがプレイヤーであった。
それは「ただの流行りのゲーム」であったはずであった。
「オーディナル・スケール」をプレイするSAOサバイバーを対象として次々と起こる不可解な事件。
キリトの前に突如現れた「白い幽霊」
ランク2位の謎の剣士「エイジ」
”大切なもの”を取り戻すために再び”黒の剣士”が立ち上がる。
劇場版ソードアート・オンライン――オーディナル・スケール――の感想(ネタバレ含む)
劇場版ソードアート・オンライン――オーディナル・スケール――の感想を、少しネタバレが混じりますが書いていきたいと思います。
音楽が素晴らしい

http://dengekionline.com/elem/000/001/381/1381051/
作中では戦闘シーンの際にAI歌姫「ユナ」が現れ歌ってくれています。
これがまた、その緻密に描かれた世界観をより引き立てる役割を果たし、その現場にいるかのような緊迫感と高揚感を味わうことが出来ました。
本来は歌があるという事は臨場感の観点からすると逆効果のような気がしますが、そんなことは全くありませんでした。
もちろん音楽は「梶浦由記」さんが担当されています。
もし音楽は誰がされているのかわからない、事前情報のない状態で劇場に入り観たとしても、梶浦さんを知っている方なら間違いなく「梶浦色が濃厚に出ている!」と感じるくらい、梶浦感が強かったです。荘厳であり、かつ優美です。
それがまた、あってるんですねぇ~! これが!
元ヘビーオンラインゲーマーとしては、この梶浦さんの音楽に包まれながらゲームがしたいと心から思いました。本当に流石です。
そしてこの作中で流れた曲たちがサウンドトラックとなって発売されます。
このサウンドトラックにも収録されていますが、「longing」という曲をはじめて劇場で聴いたときに、「Fate Zero」で使われているKalafina「to the begininng」感が出ているなぁといい意味で感じました。同じくこの曲ももちろん梶浦さん作です。名曲ですよね。
また、原作者の川原礫先生はこのソードアート・オンラインの音楽面について、こうおっしゃっています。
浮遊城アインクラッドには基本的にBGMは存在せず、街の中だけはNPCの楽団がBGM的な音楽を奏でているという設定ですが、これはたとえばフィールドでゲームBGM的な音楽が聞こえたとすると、VRMMOでは「この音楽はいったいどこから…!?」ってなると思ったからなんですよね。
— 川原礫;SAO19巻発売中 (@kunori) 2017年2月11日
でもアニメ版で梶浦さんが作って下さった魅力的な劇伴音楽を堪能して、その後対談とかもさせて頂いて、「この音楽をキリトたちが聞いていないのはもったいない!」と強く思ったのです。街で流れる『The First Town』だけはキリトたちも聴けたと思いますが…
— 川原礫;SAO19巻発売中 (@kunori) 2017年2月11日
そこで、我々画面外の観客と、作品内のキリトたちが音楽を共有する方法がないかと考えた時、思いついたのが歌姫的なキャラクターなのです。オーディナル・スケールの歌姫ユナはもちろんストーリー上必要な存在ですが、アイデアの出発点は「キャラとの音楽の共有」だったと思っています。
— 川原礫;SAO19巻発売中 (@kunori) 2017年2月11日
先行公開されている冒頭12分の映像でもユナが歌っていますが、あの歌は画面内のキリトやアスナたちも聴いています。劇場でご覧の際は、そんなことを少しだけ意識して頂けると嬉しいかもです!
— 川原礫;SAO19巻発売中 (@kunori) 2017年2月11日
また、「リスアニ」にて音楽面での特集が組まれていたりします。梶浦さんなどがインタビューにこたえられています。
そして、この「リスアニ」について、礫先生はこうおっしゃっています。
ふおー リスアニ最新号の、LiSAさん、戸松さん、梶浦さんのインタビューがとても良い! SAOを書き始めて今年でもう17年目になりますが、作中でもけっこう長い時間が流れているので、だからこそLiSAさんの「この一瞬を掴め」というメッセージが物凄くシンクロします…
— 川原礫;SAO19巻発売中 (@kunori) 2017年2月11日
やはり、 音楽面でも素晴らしいというのがこの「ソードアート・オンライン」の良さではないでしょうか。
キリトがヘタレ

https://www.youtube.com/watch?v=kEx6uJeOpMs
キリト役なのに実はリズが好きな声優の「松岡禎丞」さんも舞台挨拶の時におっしゃっていましたが、もうキリトがヘタレです。
この話を知った状態で映画をはじめて観た時には「ARでは思うように体が動かないキリトさんの感じをヘタレと言い表したのかな?」などと思っていましたが、そんな話ではなくヘタレでした。
もちろんARMMOに苦戦するキリトさんが観れるシーンは多くありますが、問題点はアスナの家族との関係上にありました。
アスナに「私の母に会ってほしい」と言われ、それにビビりまくり、上手いことどうにか逃げようとするキリトさんに劇場の誰しもが「そこは男なんだからビシッと行けよ!!」と心の中で突っ込んだ事でしょう。実際、その問題のシーンでは「クスクス(笑)」というバカにしたような笑い声がホワイトノイズのように至る所から湧き出ていました。
ローソンでひと笑い
作中にスポンサー企業の商品や名前がたくさん出てきます。
その中でもひと際目立つのが「ローソン」
あの青と白の特徴的な色合いを前面に出してくるだけでは飽き足らず、ローソンで販売されている「からあげくん」まで登場します。
その貪欲な「ローソン推し」が劇場でひと笑い起こしていました。
キリトがアスナに渡す指輪
このローソンのように作中にスポンサーらしきものが出てくるもののなかで、一つ気になったものがありました。
それが、キリトが作中でアスナに渡す「指輪」です。
これが、「McDonald's」ならぬ「WcDonald's」などのように、似たような架空のものであれば間違いという事になるのですが、この「指輪」、アガット(agete)の指輪ではないかと思われます。
戦闘シーンのカッコよさ
登場人物たちが”ヌルヌル“と動きます。
躍動的であり地上波のアニメとしてはなかなか難しいような綺麗さで迫力のある音を発しながらの戦いは、臨場感が波のように押し寄せてきます。
戦闘シーンのカッコよさと美しさには本当に魅せられました。
土煙や攻撃などの光、そして髪の毛の動きに至るまで、綺麗でした。
ちなみにアスナがしっかりと2週間前に習得したばかりの「マザーズロザリオ」を戦いの中で使用しています。これがまたその時の流れの強さと相まって人の心を揺さぶってきます。こういった細やかな動きの中にも隠された想いが存在していて、それを読み解くとさらに感動が深まります。
ストーリーが流石
繰り返しになりますが、この作品は川原礫先生が書き下ろしておられます。
それ故にストーリーの単体で考えても、やはり素晴らしい作品です。
キャラクターの動機付け1つとっても素晴らしく、本来「善」と「悪」とスパンと仮に分類したとしたら「悪」にカテゴライズされそうな「重村教授」や「エイジ」といったキャラクターまで、その行動原理がその行動に足るレベルで存在します。したがって、感情移入の対象としてちゃんと「エイジ」を見ることが出来たりもします。
この1本の映画で完結した1つの作品を作るという”枠”がある中でのストーリーとして、いいストーリーだったように感じました。
また、ところどころ本当に一部の人間には無性に共感できる部分が散りばめられていて、例えば!
例えば、ALOに重きを置いているキリトからするとOS(オーディナル・スケール)に人がとられて、ログイン数が減少しているという話があり、それに対してキリトが少し寂し気な雰囲気をログハウスの中で醸し出していたりするシーンなどがあります。
ここ、本当にオンラインゲームをしていると強く共感できるポイントで、このゲームに思い入れがあったりして、大好きで大好きなのに、人が減っていく……。そして「いつか戻ってくるよね……」なんて思いながらそれでもプレイするゲームタイトルを変えることが大好きだから出来ないという悲しさなどを実際に体験したことなんかがあると、胸の中の深い部分をギュッとつかまれた気分になります。
ラスボスって……
100層にいたとされるボスモンスターが登場しますが、アインクラッドの100層「紅玉宮」で待ち構えるボスモンスターって「ヒースクリフ」じゃなかったでしたっけ?
そしてもしゲームなどの設定が正しければ、その場合は赤いフードのあの「始まりの街」に現れた茅場のアバターでしょうし。100層はフィールドなしで直接紅玉宮でしょうし。
ちなみにゲームの「ホロウフラグメント」ではイレギュラーな形ではありますが100層のボスと対面できます。
エイジのチーター具合
ネタバレ感が強い話ですが、エイジの強さの源はあのサイバネティックスーツみたいなスーツにありました。
あれを用いることにより、現実世界での超人的な運動を可能にしています。
これを観ていて感じたのはARとこういった身体機能向上スーツの親和性が思ったよりも強すぎるので、結局のところARMMOが発展したとしても、安全性もへったくれもないレベルで危険なリアルファイトが勃発するだけのような気がします。
今作のオーディナル・スケールにおいても交通規制のようなものを実施するというお膳立てをしたうえでもこれだけ様々な問題点が出てくるので、現実でARMMOを行うとすればどこかの商業施設か何かでスーツや補助器具の着用を禁止した上でゲームを楽しむというのがいい線なのかなと思います。しかし大規模同時戦闘なんて商業施設の広さの面で難しそうなのでそういった点でもネックかもしれません。
アニメ3期の放送が決定
次はあの名作「アリス編(アリシゼーション)」です。
アンダーワールドを舞台とした原作10巻以上に渡る大作です。
途中で新章となり、舞台は引き継げど少しテイストが変わりますが、今回3期として放送できる範囲ではまず新章までは突入しないような気がします。
それでも、あのアインクラッド編レベルの名作であることは間違いないので、あの世界が映像になることを考えるとそれだけでワクワクが止まりません!!
終わりに
この劇場版ソードアート・オンラインオーディナル・スケールという作品に関して、もともとSAOのファンであるという事を差し引いてもいい作品であったのではないかなと思います。
最初の方に書きました本編の空白期間の補完という形でもファンであれば必ず見る必要があるように思いました。(同じ礫先生原作作品のアクセルワールドの劇場版は観なくてもいいと言えますが、こちらは間違いなく観るべきです。)
それにしてもアスナ様の男前っぷりには目を見張るものがありました。
こちらはソードアート・オンラインオーディナル・スケールの解説記事です。
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