映画「トータル・リコール(2012)」のあらすじ(ネタバレ)・感想
2012年版の映画「トータル・リコール」のあらすじをネタバレ込みで書いていきつつ、感想をまとめていきます。
この映画はもともとは伝説的SF作家のフィリップ・K・ディックの短編作品「トータル・リコール(追憶売ります)」がもとになっていて、一度過去にアーノルド・シュワルツェネッガー主演で映画化をされていますが、今回はまた新たに映画化をした作品であり、2012年版です。
原作はこちら
原作本は短編集になっているので、「トータル・リコール」以外にも映画化された「マイノリティリポート」なども収録されていて読み応えがあります。
トータル・リコールのあらすじ(ネタバレ含む)
21世紀末に化学兵器による対戦が勃発し、地表の大部分は居住不可能になった。その結果、生活可能な区域は貴重なものとなり、人類は2つの地域に分かれ住んだ。富裕層を中心としたヨーロッパのUFBブリテン連邦と労働者階級が住むオーストラリアを中心としたコロニーである。コロニーの労働者は毎日「ザ・フォール」と呼ばれる地中を突き進んで地球の反対側へと向かう巨大エレベーターによってブリテン連邦へと働きに向かっていた。
ダグラス・クエイド(コリン・ファレル)はシンセティック(警備ロボット)の生産を行う労働者であり、コロニーにて妻ローリー(ケイト・ベッキンセイル)と暮らしていた。しかし、そんなダグはある日夢の中で見知らぬ女性と共に警官に追われるようになる。そんな何気ない夢ではあるが、その鮮明さからダグはその夢の事が気になり始める。そんなコロニーの生活であるが、コロニーの人々は日常の退屈さから逃れるためにリコール社という記憶を販売する会社にて記憶を買い、つかの間の夢を楽しんでいた。
ダグは夢の事が気になるために、リコール社に興味を持つようになる。友人のハリー(ボキーム・ウッドバイン)からは止められながらも、ある日リコール社にダグは訪れる。そして買った記憶はスパイにまつわるものであった。
そして記憶をいざ植えつけるとなった時、エラーが起こる。それはもともとスパイ関係の記憶を持つものエラーである。そして更にエラーと同時リコール社へとUFBの警察部隊が突入してきて、リコール社の面々は殺されていくその時、普段ではありえない身のこなしにより戸惑いながらも部隊を迎撃しダグは逃げ切ることに成功する。
何とか自宅に帰り、帰宅してきた妻のローリーと対面するが、そのローリーさえもダグを監視する諜報員であり、記憶を植え付けてからの6週間だけ妻として演じながらUFBのコーヘイゲン代表(ブライアン・クランストン)の命で監視していたに過ぎなかった。ローリーと戦闘になるものの何とかまた逃げだすことに成功する。
なぜ自分が追われなければいけないのか、そして自分は何者なのかわからないままに、UFBに敵対するレジスタンスのメンバーの手を借りながらレジスタンスへと、そして自分へと迫っていく。謎をついた先に存在した謎を解いていき、UFBにて夢の中の女性メリーナ(ジェシカ・ビール)と出会う。
その結果、ダグは自身のの正体がレジスタンスとUFBの二重スパイのハウザーであると知る。名スパイであったハウザーはUFB側からコーヘイゲン代表の指示でレジスタンス側に潜入しスパイ活動をしていたが、レジスタンスの代表のマサイアス(ビル・ナイ)やメリーナとの日々の中でハウザーは考え方を改め、レジスタンス側に寝返った。しかし、夢の脱出失敗のシーンを経てメリーナは逃がせたもののハウザーはUFBに捕まり、ダグラスとしての記憶を植え付けられていた。
コーヘイゲンはUFBがコロニーへと攻め込むために、レジスタンスがテロを行っていると語りながらテロ行為を起こし、そのテロとの戦争という大義名分を掲げ、シンセティックを増強をしていた。そんなコーヘイゲンを止めるためにハウザーとして立ち上がったダグは、戦争を回避するためのコードをどうにかマサイアスに届けるために行動を開始する。
UFBやローリーに追われながらもなんとか汚染区域であるノーゾーンに潜伏していたマサイアスに会うことが出来、そのコードを教えるが、それは罠であった。ダグ自身も騙されており、マサイアスは死亡、レジスタンスもアジトもろとも壊滅してしまう。
またしても捕まえられたダグラスとメリーナ。そして、動き出すシンセティックの大軍。コロニーへと向かうザフォールで捕まっていたダグラスとメリーナは動き出す。
重力すら反転するザフォールの中で戦い、マサイアスやローリーとの激闘を経て、ザフォールを破壊することに成功する。地球の真反対の地域を結ぶ地中エレベーターのザフォールを破壊したことで、コロニーとUFBの行き来が不可能になる。このことによってコロニーは念願の独立を果たすこととなった。
トータル・リコールの感想
UFBとコロニーの対比
この作品のトータル・リコールは火星ではなく、コロニーとUFBの対比で描かれていますが、その全く真逆の属性の地域を描きながら見事にどちらも未来的に描かれていました。
このコロニーの独特な退廃的である未来感も好きですし、UFBの方のトゥモローランドのような明るさと清潔感に溢れた、これこそが一見すると「完璧な」世界であると言わんばかりの未来感も好きです。
前の作品に比べるとやっぱり新しい作品であるので、描けるレベルというのがやはり技術的に変わってきます。
よくUFBのゲートを通るときの審査を潜り抜けようとする際の変装の技術などに代表されるように前の方がよかったという意見も多く聞きますが、それは「そんなことある!?」というドキドキワクワク感であり、SFという名の元、整合性のとれた世界を追い求めるのなら、このような納得のできる技術を具現化してもらった方が違和感なく観ることが出来て良いように個人的には思います。
未来型カーチェイスのカッコよさ
洋画にカーチェイスはつきもののような感じはしますが、このトータルリコールのカーチェイスはそこら辺のカーチェイスと一味やはり違います。
こんなところに映像美は必要なのか? とも感じさせるくらいの綺麗さで、未来型のカーチェイスが展開されます。それ故、現実的なハラハラ感はなくなってしまうのですがそれを補うためか、安全ロックを外して落下させるという未来型のカーチェイス独特の技術の裏を使った方法で緊縛感を演出しました。
本当にこれはこれでカッコよかったです。
ピアノのある部屋のシーン
散々と世界観構築に技術を費やしてきているような作品ですが、そんな中でそれほどSF的未来感の感じない主人公のダグラス・クエイドがハウザーとしての記憶を取り戻すピアノのシーンで、その美しさとカメラワークに見惚れました。
ただの部屋の中であるのにどこか厳かであり、張り詰めた冷たい空気が画面のこちら側にも漂ってくるような印象で、嵐の前の静けさとしても強弱のつけるポイントとしても良かったです。
トータルリコールの製作費と興行収入
ザ・フォールやUFB軍などを筆頭にSF作品としてB級映画感が出ないようにやっぱりそれなりのお金がかかっているのだろうなというような映像美です。壮大で緻密で華麗でした。
そこで気になってどれくらいの製作費で作られたのかを調べてみると、1億2500万ドルとの事。これは例を挙げるとハリーポッターと死の秘宝と同じくらいです。
そこで、心配になって興行収入を調べると、1億5000万ドル程との事。何とか黒字であり、ホッとしました。
コリン・ファレル

https://www.videogamer.com/news/colin-farrell-offered-leading-role-in-world-of-warcraft-movie
主人公のダグラス(ハウザー)を演じているのは俳優コリン・ファレルです。
今作の原作と同じくフィリップ・K・ディックの小説が原作となっている「マイノリティ・リポート」にも出演している他、「ヒットマンズ・レクイエム」ではゴールデングローブ賞を受賞しています。
今回も安心と信頼の演技で、観ていても作品への没入感を損ないませんでした。
そんなコリン・ファレルはハリーポッター世界でのストーリーの「ファンタステック・ビースト」にも出演しています。
こちらのグレイブス長官役は本当にはまり役であり、こちらも存在感が強くいい演技をしていました。
まとめ
そんなフィリップ・K・ディックが原作の2012年版のトータル・リコールについてでした。
是非、原作がまだの方は一読してみてください。偉大な作家です。
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